Blue Moon

  • Jul 19, 2015
  • Pankie Koba

その昔、1883年にインドネシアのクラカタウ火山の噴火後、約2年間「日没は緑に、月は青に変わった。」と言われています。
このように火山の噴火や隕石の落下によって発生するガスや塵の影響でこれを通過する光の色が変わる現象を「ラマン現象」と言うそうです。

もうひとつ科学的・視覚的に立証されていることがあります。波長の長い青紫色の光は地球の大気を通過すると“散乱”を受けて見えにくくなるという性質です。夕暮れに太陽光が斜めに射すと青い光が“散乱”して失われるのです。結果、波長が短い赤色が強調され、空が茜色に染まるのが「夕焼け」というわけです。これは月も同じで、地平線近くにある時は赤味が強調され、天頂部にある時は青みがかって見えるのです。

また、人間の網膜の働きで、明るい場所では赤を鮮やかに感じ、次第に暗くなっていくと青が強調されて見えるようになります。これは、19世紀のチェコのプルキニェという生理学者が発見したもので、「プルキニェ現象」と呼ばれてるそうです。この現象のひとつとして、夕焼け空が次第に暗くなっていき日没後のほんの短い時間、青みがかった空になる時があります。この時間を「ブルーモーメント」と言います。ハワイ島やマウイ島のこの時間は最高にロマンチックです。

こうした“太陽光の散乱”と“網膜のプルキニェ現象”があいまって、日没で暗転した空の天頂部にある月、特に上弦の月が最も青みがかって見えるのです。

では、「ブルームーン」という言葉はどこから生まれたのでしょうか。

天文学、気象学には「ブルームーン」とう用語はありません。様々な言い伝えはありますが、どれも信憑性に欠けます。名前は後で誰かが命名したとしても上記の二つの現象は遥か昔からあったわけです。ですから現在定説になっている1ヶ月に2回満月が見られる時のその2回目の方の満月を「ブルームーン」と呼ぶというのはかなり後の話で、本当に満月が青く見えたものを誰かが「ブルームーン」と名付けたんだと思います。

確かにめったに見れない現象ですから「きわめて稀なこと」「決してあり得ないこと」と言う意味を持つようになり、19世紀半ばには「Once in a blue moon」という熟語が生まれ、「めったに起こらない特別な出来事」という慣用句として使われるようになりました。

「ブルームーン」いうカクテルを飲んだことがなくても聞いたことがある方は多いと思います。(若い方はどうですかな?)このカクテルは19世紀後半にアメリカで生れました。ただ正確な時期や作者は不明の謎の多いカクテルです。ドライジンをベースにバイオレット・リキュールを使うので薄紫色に見え、レモンの酸味とジンのほろ苦さがマッチし、菫の妖艶な香りがするカクテルです。もともとフランスの「パルフェ・タムール」という菫のリキュールを使って生まれたものなので、「完全なる恋」という意味も持っています。ただ、「叶わぬ恋」「出来ない相談」という意味が通念となっています。ですから、「ブルームーン」というカクテルを女性が注文した時は、「あなたとお付き合いしたくありません」というスマートな断り方と取るのか、「完全なる恋」というOKサインと取るのか悩むところです。

もうひとつ「ブルームーン」が現在の定説になる前に生れた名曲があります。その名も「ブルームーン」。1934年にできたロレンツ・ハート(作詞)、リチャード・ロジャース(作曲)の名コンビによるスタンダードナンバーです。(因みに「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」もこのコンビです。)ビリー・ホリデー、ナットキング・コール、フランク・シナトラ、エラフィッツ・ジェラルドなどほとんどの有名ジャズシンガーが歌っています。この曲の中に「ひとりぼっちで見上げてた月は青かったけど、彼女のおかげで今は金色に輝いて見える」という歌詞があります。つまり、この曲で歌われてるようにまだ当時は「ブルームーン」は悲しみや孤独の象徴だったのです。

1946年 カナダのヒスコックという民族学者は「メイン州農民年鑑」に記載されていた“ブルームーン”という言葉を「その月の二回目の満月」という意味で天文雑誌「Sky & Telescope」誌に紹介しました。時は下って1980年、このことをアメリカのラジオ局が番組で紹介したのです。するとリスナーから大反響があり、瞬く間に“ブルームーン”(二番目の満月)という言葉が世に広まりました。でも事実は違っていました。「農民年鑑」では一年を4シーズンに分け、1シーズンに3回の満月に、冬の第一満月を“Moon after Yule”(降誕祭の後の月)、その次満月を“Wolf Moon”(狼月)というふうに名前を付けています。でもシーズンの始まりが満月の場合、4回目の満月が巡ってくることがあるそうです。その名前が付いていないシーズン4回目の満月を「ブルームーン」と呼んでいたのでした。

事実は判明しましたが、すでに手遅れでした。世の中には既に“月の2回目の満月”を「ブルームーン」と呼ぶ誤解が根付いてしまっていました。しかも「ブルームーンをひと目見ることができればいいことが起きる。」「ブルームーンを二回見れれば幸せになれる。」という神話の尾ひれまで付いて。

余談ですが、1955年に菅原都々子が歌った大ヒット曲「月がとっても青いから」(なんとその当時ではあり得ない100万枚を超える大ヒット曲です。)は「月がとっても青いから遠回りして帰ろう」という歌詞からもわかるように、その当時の純愛を表現した歌です。月の光の仄かなロマンチックさに人は魅せられるんですね。

因みに、今年2015年は7月2日と31日が満月なので31日は「ブルームーン」です。2日の満月は「ファーストムーン」と呼びます。

「ブルームーン」は統計上2~3年に一度の現象ですが、2018年1月31日には非常に珍しい“皆既月食のブルームーン”が日本全国でも見られるということです。

今から手帳のカレンダーにブルーの印を付けておいてくださいね。



7/2のファーストムーンは梅雨空で見ることができませんでしたが、7/31は素敵なブルームーンが見れると祈ってます。

みなさん、願い事を決めておいてくださいね。

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