外郎売
年々、『過去最高の暑さ』という触れ込みで国民に危機感を募らせる昨今。
すでに外出するのが億劫な方々も多いことでしょう。
かくいう私も家から出たくないですね、はい。
そんな中でも外でお仕事なさっている方々には脱帽しかないですね。
営業職の方、警備員の方、くれぐれも熱中症にはお気をつけください。
それでは、早速今回の本題。
皆さんは『外郎売』なるものをご存知でしょうか?
芸能関係の方々なら一度はやったことがあると思いますが、発声練習や滑舌の練習に使われている歌舞伎十八番の1つでその劇中に出てくる長台詞を指していることが多いですね。
「拙者親方と申すは、~」から始まる長台詞で演じると8分ほどもかかるらしいです。
1人で8分も喋り通すのはなかなか骨が折れるものです。
ところで、この外郎売が売っているものを皆さんはご存知ですか?
台詞の中に度々出てくることから「薬」ということは察しがつきますが。
では、どのような薬なのか?
日本へ亡命した旧元朝の外交官(外郎の職)であった陳宗敬に由来し、彼が日明貿易に携わり輸入したものであり、口中清涼・消臭に使用するものらしいです。
今でいう『フリスク』に近いものですかね。
古の中国においては、王様が被る王冠にまとわりつく汗臭さを打ち消すために用いられたともいう、置き型ファブリーズも顔負けの万能消臭剤だったようです。
さてさて、『ういろう』という和菓子はご存知でしょうか?
米粉などの穀物に砂糖と湯水を練り合わせ、型に注いで蒸籠で蒸して作る和菓子で名古屋銘菓という認識が強いアレです。
名古屋銘菓の代名詞のような扱いをされていますが、他にも小田原市、京都市、山口市も比較的知名度が高く、地域によって様々な特色があるようです。
なぜ、和菓子の話をしているかというと、歌舞伎十八番の外郎売の舞台は小田原市となります。
その小田原市には「ういろう本店」という一見お城のような立派なお店があり、そこが『外郎売』の舞台となっています。
元々、小田原の外郎家が製造・販売する薬の口直しのために出されたのが和菓子が『ういろう』だと伝えられています。
ちなみに、お店では薬とお菓子を一緒に売っているとのことです。
目印は城っぽい建物。
近くに小田原城もありますが、むしろ小田原城よりも城感が強いかもしれません。
小田原に行く機会があれば是非とものぞいてみてはいかがでしょうか?
それではまた次回も御拝読いただけますようお願い申し上げまする。