よこはま物語 その13

  • Apr 12, 2024
  • Daisuke Kobayashi

ジャズ・ラウンジ「ウインドジャマー」

中華街「善隣門」近く、山下町215番地にあったジャズ・ラウンジ「ウインドジャマー」です。

ガス灯が灯る、外国の港町の酒場を彷彿とさせる外観でした。

1972年9月1日に開店し、50年以上営業してきましたが、多くのファンに惜しまれつつも今年の1月28日に閉店してしまいました。

「ウインドジャマー」の場所には伝説のディスコ「レッドシューズ」がありました。(※当時はゴーゴークラブと呼ばれていて、タイトなミニスカートをはいたゴーゴーガールが踊る丸いお立ち台がフロアにいくつかありました。ジュリアナ東京は当時のゴーゴークラブからヒントを得たんだと思います。)

船乗り・米兵・ヤンキーなど荒っぽい男たちが毎晩けんかする店で有名でしたが、1971年、向かいのピアノバー「ストーク」と共に大火事で焼失。閉店してしまいました。

ウインドジャマーのジャズライブ
ウインドジャマーのジャズライブ

ウインドジャマー店内
ウインドジャマー店内

「レッドシューズ」の時から生バンドが入っていた店内のレイアウトはほぼそのままで、19世紀後半~20世紀前半にかけて主にドイツ・北欧・ポーランドなどで活躍した貨物用鋼鉄帆船ウインドジャマーのキャビンのイメージを出すため、壁・床・天井すべて木材で内装しました。

2023年ウインドジャマーのカウンター席に座るジミー・ストックウェルさん
2023年ウインドジャマーのカウンター席に座るジミー・ストックウェルさん

このお店のオーナー ジミー・ストックウェルさんはベトナム戦争時代、休暇で横浜に帰ってくると本牧のレストランやバーでアルバイトをして飲食の知識を身に付けました。もともとニューヨーク州バッファローのお父様がパブを営んでいたということもありますが、いつか自分のお店を持とうと思っていたそうです。

そして1972年9月1日、ジミーさんのお店「ウインドジャマー」がオープンしたのです。

ここの名物メニューは「キャプテンズバーガー」と「ホームメイド・ピザ」ですが、500gの国産ビーフと400gのバンズと300gのタマネギを使った直径30cm、総重量1.2kgの「特製司令官バ-ガー」(1日3食限定)も有名でした。

僕は一度も食べれませんでしたが・・・

特製司令官バーガー
特製司令官バーガー

そしてもう一つ有名な名物カクテルがあります。

ジミーさん考案のオリジナルカクテル「Jack Tar」(ジャックター)。

「ジャックター」(船乗りの愛称)と名付けたそのカクテルは、ロンリコ151という75.5%のハイアルコールのラムに、サザンカムフォートというニューオーリンズで生まれた少し甘めのリキュールとライムを加えた相当強いカクテルです。

このカクテルは今でも姉妹店の「ケーブルカー」に行けば飲めますよ!

ジミーさん考案のオリジナルカクテル「ジャックター」
ジミーさん考案のオリジナルカクテル「ジャックター」

その後の好景気もあって、2階にはステーキを中心にしたレストランをオープンし、1983年、加賀町警察署の前に「ケーブルカー」というバーをオープンしました。

サンフランシスコのケーブルカーから着想した内装で、18mの木製カウンターとお酒の陳列棚は圧巻です!

ケーブルカー外観
ケーブルカー外観

ケーブルカー店内
ケーブルカー店内

ケーブルカー開業時、カウンターに立つジミーさん
ケーブルカー開業時、カウンターに立つジミーさん

もう一つ、中華街で僕が大好きなバーがあります。

「BAR NORGE(バーノルゲ)」です。

冒頭の方で書きましたが、レッドシューズと共に大火事で焼失したピアノバー「ストーク」の場所にウインドジャマーと同じ1972年にオープンしました。ノルウェーの船乗りの方が日本人女性と結婚して開いたお店です。

現在は日本人オーナーの方がバーテンダーとして腕を振るっています。

BAR NORGE外観
BAR NORGE外観

BAR NORGE店内
BAR NORGE店内

そして、この「BAR NORGE(バーノルゲ)」をはじめ、本牧の「クラブ イタリアンガーデン」「ラ・ジョイ」「アロハカフェ」など数々の有名店の設計・施工を手掛け、石川町駅の山の中腹にある「ザイムカフェ」のオーナーでもあった植竹 悦夫さんが昨年9月74歳でお亡くなりになりました。

心よりご冥福をお祈り申し上げます。

2023年9月にお亡くなりになった植竹 悦夫さん
2023年9月にお亡くなりになった植竹 悦夫さん

 

 

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