よこはま物語その27

  • Jul 22, 2025
  • Daisuke Kobayashi

【横浜三塔物語】

横浜三塔とは、神奈川県庁の塔「キング」、横浜税関の塔「クイーン」、横浜市開港記念会館の塔「ジャック」のことで、昭和初期に外国船員がトランプのカードに見立てて呼んだことが由来と言われています。

神奈川県庁本庁舎「キング」の塔
神奈川県庁本庁舎「キング」の塔

横浜税関「クイーン」の塔
横浜税関「クイーン」の塔

横浜市開港記念会館「ジャック」の塔
横浜市開港記念会館「ジャック」の塔

神奈川県庁本庁舎の「キング」は五重塔をイメージさせるスタイルで、昭和初期に流行した帝冠様式(洋式建築に和風の屋根を冠したデザインが特徴)のはしりと言われています。
また、表面に溝を刻んだ茶褐色のタイルと、幾何学的な装飾模様が特色のライト様式(旧帝国ホテルなどを設計した巨匠フランク・ロイド・ライトによる建築様式)が威厳と風格を醸し出しています(1928年竣工)。

横浜税関の「クイーン」はイスラム寺院風のエキゾチックなドームが特徴です。
塔の屋根は銅板一文字葺きで、元々赤銅色でしたが数十年を経て緑青色になりました。
創建当時、塔屋の外部には大きな白熱灯が8個設置され、ライトアップのない時代、長い航海をしてきた外航船の船員たちに魅力的な港横浜を演出していました。
また、正面玄関のアーチの円柱はインド古代風、アーチ周りの装飾はムーリッシュ風(北アフリカのムーア人居住地のイスラム建築様式で、スペインのアンダルシア地方で発達)、ねじり柱はクラシック風で、床は市松模様という、税関という国際的な性格に相応しいエントランスです(1934年竣工)。

横浜市開港記念会館の「ジャック」は東南隅の時計塔のことで、日本銀行本店や東京駅丸の内駅舎の設計で有名な明治の建築家、辰野金吾氏が開発した辰野式フリークラシック様式(赤煉瓦に花崗岩を取り交ぜたルネッサンス風の様式)の代表作の一つ。
横浜開港50周年を記念して「開港記念横浜会館」の名称で1917年に竣工されました。

神奈川県庁本庁舎も横浜税関も1923年の関東大震災で全倒壊焼失し、新しく建て直されました。
しかし開港記念横浜会館は、内部は焼失、屋根ドーム群も欠落しましたが、時計塔と壁体は辛うじて無事でした。

関東大震災直後の開港記念横浜会館
関東大震災直後の開港記念横浜会館

1927年に震災復旧工事が竣工しましたが、西南隅の八角ドームと西北隅の角ドームは復元されませんでした。
1945年から1958年まで進駐軍兵士向けの映画上映館「メモリアルホール」になっていましたが、1959年に中区の公会堂となり、名称は「横浜市開港記念会館」となりました。
その後、1985年に創建時の設計図が発見され、1988年からドームの復元工事が行われました。
そして1989年、大正時代そのままの姿に蘇ったのです!

横浜市開港記念会館の復元された西南隅の八角ドーム
横浜市開港記念会館の復元された西南隅の八角ドーム

今でも中区の公会堂として会議室及び講堂は一般利用できる施設となっています。
特に講堂は480人ほど収容できる2階席もあるホールで、コンサートや演劇や結婚式に利用されています。
国の重要文化財ですが、利用料はビックリするくらい安いですよ!

横浜市開港記念会館の講堂
横浜市開港記念会館の講堂

横浜市開港記念会館2階ロビーのステンドグラス
横浜市開港記念会館2階ロビーのステンドグラス

いつしか多くの船員たちは船上からこの三塔を目印に入港したと言われています。
横浜三塔は震災や戦争などの苦難を乗り越えて今も建ち続けていることから、困難に打ち勝つシンボル的存在になり、この三塔を一度に見れる場所3か所を1日で巡ると願いが叶うという伝説が「横浜三塔物語」と呼ばれるようになりました。

その3か所とは「日本大通り」と「赤レンガパーク」と「大さん橋」にあります。
この3つのスポットには目印が設けられていますので、是非探してみてください。また、毎年3月10日は「三塔の日」として横浜三塔物語にちなんだイベントも開催されています。

ロマンチックな夜に巡ると結婚前のカップルは結ばれるという噂もありますよ!

キングの夜景
キングの夜景

クイーンの夜景
クイーンの夜景

ジャックの夜景
ジャックの夜景

 

 

レンタルのはじめの一歩 →
『お申込/お見積』のご依頼を!

レンタルのお申込/お見積